マルチタスクは不要!マルチタスクの弊害とは

読み屋(@Books_Yomiya)です。

複数のタスクを同時にこなすことが効率的だと思われている方が、今でも非常に多くいらっしゃるのではないかと思います。

今回は、マルチタスクにまつわる論文や海外ブログをまとめました。

結論から言うと、マルチタスクは不要であるというだけでなく、マルチタスクをすることで私たちの仕事の効率も下げるなど弊害が発生しています。

日々の業務や勉強の進め方として、複数のタスクを同時にこなすのではなく、シングルタスクを心がけるようにすべきです。

また、業務や勉強などのタスクが中断されないよう、集中したい時間帯では通知をオフにすることが好ましいでしょう。

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マルチタスクは不要!マルチタスクの弊害とは

研究が進むにつれて、実はマルチタスクは非常に生産性が低いばかりか、私たちの集中力も奪ってしまう結果になることが分かっています。

マルチタスクという用語は実際には誤った呼び名です。実際には、一度に複数のタスクを実行することはできません。代わりに、タスクを切り替えているだけに過ぎないのです。そのため、研究で使用されている用語は「タスクスイッチング」です。

タスクを切り替える行為というのは、実は「高コスト」です。
タスクの切り替えに関する多くの研究があり、調査からわかったことは次のとおり。

  • タスクを1つずつ実行する場合よりも、切り替えた場合の方がタスクを完了するのに時間がかかる。
  • 一度に1つのタスクを実行する場合よりも、切り替えるときに多くのエラーが発生する。
  • タスクが複雑な場合、切り替えにかかる時間とエラーによる不利益が増加する。
  • 各タスクの切り替えは1秒の10分の1だけを浪費する程度かもしれないが、1日に多くの切り替えを行うと、生産性が40%低下する可能性がある。
  • タスクの切り替えには、脳のいくつかの部位に負担をかける。(タスクの切り替え中の脳スキャンは、4つの主要な領域で活動を示すのだ。前頭前皮質は、注意の移動と集中に関与し、どのタスクをいつ実行するかを選択する。後頭頂葉は、切り替える各タスクのルールをアクティブにし、前帯状回はエラーを監視し、運動前野は何らかの方法で動く準備をしている。)

調査により、私たちが実際にマルチタスクを実行できないことは明らかです。

マルチタスクの真のコスト

さらに別の記事を見てみましょう。アメリカ心理学会においてもマルチタスクは効率が低いと言及しています。

大人と同じように、若者はマルチタスクが効率を高めると信じられています。しかし、そのような実際に効率を高めることはない、とミシガン大学アナーバー校の脳、認知、アクションラボのディレクターである心理学者デイビッドE.マイヤー博士は言っています。マルチタスクを実行する人は、実際に物事を成し遂げるのに時間がかかります。

マイヤー氏は、10代の若者が友人とテキストメッセージをやりながらシェークスピアに関するエッセイを書き込もうとしていると、そのやり取りが「一種の精神的低下」を引き起こす可能性があると言います。

「各タスクを実行するために同じ種類の精神的および物理的リソースを使用する必要があります」と彼は説明します。「実際に同時に行うのではなく、2つのタスクを切り替える必要があります。」

さらに、タスクの切り替え自体には手間がかかります。切り替え中は、どちらのタスクにも集中していないとマイヤー氏は言います。そして、中断されたタスクを再開するには、メンタルウォームアップが必要です。

2001年にJournal of Experimental Psychology:Human Perception and Performance(Vol. 27、No. 4)で発表された研究で、マイヤー氏とその同僚は、あるタスクから別のタスクに切り替える間に時間が失われていることを発見しました。タスクがより複雑である、またはなじみのないものになると、彼らが失った時間は著しく増加しました。

「結果として、マルチタスクを完了する効率は、最初から最後まで1つのタスクに集中した場合よりもはるかに低くなります」とマイヤー氏は言います。

https://www.apa.org/monitor/2009/02/multitaskers

以上からわかる通り、 一度に複数のタスク、特に複数の複雑なタスクを実行すると、生産性が犠牲になるばかりか、ミスまで誘発してしまうのです。

例えば、仕事中のメールの通知、運転中に携帯電話で話したりなどの小さなマルチタスクでさえも有害であることが分かっています。

マルチタスクは止めてシングルタスクに切り替えよう

アメリカ心理学会の推奨としては、メールやSNSなどの通知は、勉強や作業を一区切り終えた後で確認することを推奨しています。

SNSの通知だけでもマルチタスク化してしまうので、集中したい時間帯には確実にシングルタスクとなるようすべての通知をオフにし、マルチタスクを止めることが推奨されています。

ある研究で、260人の中学生、高校生、大学生に自宅で15分間勉強するように頼んだ。
すると、参加者は平均して6分以内に電話のバイブレーション、メールのアラート、メッセージ通知などを受けて勉強を一時中断していたことが分かった。
このようにメッセージ通知などでタスクを中断することは、元々処理していたタスクから私たちを遠ざけてしまう。更に、元々処理していたタスクは脳内であまり目立たなくなり、元のタスクに戻ったとき、当初考えていたことを思い出そうとして時間を無駄にしてしまう
アテンションスパン(ひとつの事に集中する時間)と生産性を高めるためのソリューションの1つは、「テクノロジーブレーク」だ。
上記の勉強の例では、(勉強中にスマホを覗くのではなく)15分間集中した後で、メールやメッセージの確認をすることをおススメする。
集中力を維持する最善の方法は、電話をオフにし、視覚的な通知が表示されないよう電子メールのアラートなどをオフにし、気を散らすWebサイトを閉じることだ。

https://www.apa.org/monitor/2017/09/boosting-productivity

マルチタスクは不要!マルチタスクの弊害とはまとめ

マルチタスクの弊害をまとめると以下の通りです。

  • タスクを並行して行うほうが、タスクをひとつずつ実行するよりも実は時間がかかる。
  • タスクを切り替える際に、脳に多く負担をかけている。
  • その結果、マルチタスクを頻繁に行うことで生産性が40%も低下してしまう可能性がある。

一方で、マルチタスク化させないためのソリューションとしては、あくまでも作業や勉強をシングルタスク化させることです。

  • 作業や勉強、読書中など、集中したい時間帯は通知をオフにする。
  • 並列した作業になるようなスケジュールを組む(勉強した後でスマホを見るなど)

生産性を上げるための第一歩は、集中できる時間帯を作ってやることです。

そうすることで、仕事や勉強においても今まで以上に成果を上げられることでしょう。

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