読み屋(@Books_Yomiya)です。
労働時間が週39時間を超えるとメンタルヘルスが低下するという研究結果がありますので、紹介します。
日本でもようやく「働き方改革」を号令として、長時間労働の文化が見直されるようになってきました。
ただ、労働者側である大多数の方々も、残業に関するデメリットをしっかりと認識して、時間内に仕事を終えるという意識改革が合わせて必要だと考えています。
下記の残業に関するデメリット(残業は脳卒中のリスクを高める可能性がある)の記事も合わせて参考にしてください。
労働時間が週39時間を超えるとメンタルヘルスが低下
まずはオーストラリアでの労働時間とメンタルヘルスに関する研究を見てみましょう。
労働時間とメンタルヘルスの閾値を推定し、性別による仕事量と仕事の内外での制約により男性と女性で異なるかどうかをテストした。
オーストラリアの成人(24〜65歳)の全国的に代表的なサンプルからオーストラリアの世帯所得労働動態調査(N = 3828男性; 4062女性)で調査した研究は、内生性に対処するために縦断的同時方程式アプローチを使用。サンプルを平均すると、全体のしきい値は週に39時間であり、それを超えるとメンタルヘルスが低下する。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S027795361730031X
更にもう一つ、こちらは日本での研究です。
労働時間が40時間未満の労働者と比較すると、週に55〜65時間働く労働者と65時間を超える労働者のメンタルヘルススコアは、それぞれ1.6ポイントと2.4ポイント悪化します。
週の労働時間が55時間を超えたら要注意
一方、仕事の満足度は週に40~55時間の間は、減少してきます。
ただし、55時間を超えると満足度は向上してしまうのです。
仕事の満足度とメンタルヘルスは直結しないという結論です。
仕事の満足度は40〜55時間働いても有意差はないが、55時間を超えると逆に満足度は増加することを示している。
ただし、上記で確認したように、長時間労働は労働者のメンタルヘルスを悪化させる。
長時間労働に関連するメンタルヘルスと仕事の満足度が、必ずしも同様の結果をもたらさないことを示唆しており、自分の仕事に非常に満足していると主張する労働者は、必ずしもメンタルヘルスが良好ということを意味するわけではない。逆に労働者が仕事の満足度を強調したり、メンタルヘルスのリスクを過小評価したりすると、極端な時間労働を選択する可能性があることを示している。
労働者は、仕事の満足度を高めるために極端な時間を働くことを選択する場合があるのだ。
Why Do People Overwork at the Risk of Impairing Mental Health?
以下は週の労働時間と仕事の満足度を示している。40時間から55時間の間は、満足度が減少、55時間を超えるとむしろ満足度は上昇していく。
従って、メンタルヘルスを低下させつつも仕事の満足度は高いという危うい状況に追い込まれるのです。
残業とメンタルヘルス!労働時間が週39時間を超えるとメンタルヘルスが低下するまとめ
まとめると、以下の通りの解釈となります。
- 週の労働時間39時間をしきい値として、その後はメンタルヘルスが低下する
- 週の労働時間が40時間から55時間の間は仕事の満足度が低下する
- 週の労働時間が55時間を超えると逆に仕事の満足度は向上する
週の労働時間が55時間を超えたら「仕事の満足度は高いが不健康に近づく状態」となるため要注意です。
また、別の記事でも紹介している通り、長時間残業しても良いアウトプットを出せるとは限りません。
長時間労働をして結果を出すという文化は完全に過去のものになりました。
今後は、時間当たりのアウトプットを上げるために私たちが何をすべきなのか、考えさせられる時代がやってくることでしょう。